平成25年度 機械工業振興チャレンジ研究調査

H25 石英ガラス製無痛針成形用メス金型の製造技術の開発

 

概要

本研究では、機械加工が容易なメソポーラス石英ガラスを利用して、先進医療、ドラッグデリバリー技術として注目される無痛針をポリ乳酸で成形できるメス鋳型を製造する技術開発を行った。

 


メソポーラス石英ガラスの特徴

 

焼結前の石英ガラスに形状を転写して逆形状を創成し、焼結することでガラス製のメス鋳型を製作することは新規性がある。また従来の電鋳メッキ方式では、Ni(ニッケル)を含むため、人体に好ましくない為、今回のこのニッケルを含んでいない人体に対し衛生的な鋳型製造技術は、医療業界では他に類を見ない新しい製造技術となる。

 

 

連携

九州大学産学連携センター

 

 

結果

1. プレ研究(メソポーラス石英ガラスの荷重条件等の特性を掴む為の研究を行った。)
マスター型の転写はプレス加工となる為、プレス実験を行った。

 


転写後のメソポーラス石英ガラスの状態

 

焼成実験を行い、プレス荷重に対する焼成条件の検証を行った。



焼成後のメソポーラス石英ガラスの状態

 

・プレス荷重700kg以上では、白色のままの状態となり結晶化しなかった。
・プレス荷重と焼成後のメソポーラス石英ガラスの透明になる結晶化には関係があることが分かった。

2. 九州大学が保有するメソポーラス状の非常に柔らかい石英ガラス材料(図11)に株式会社ワークスが製作した無痛針マスター金型(円錐剣山形状)(図12)を転写プレス加工することで石英ガラスを母材とした衛生的な無痛針の鋳型を製作した。

・メソポーラス石英ガラス鋳型へのマスター金型の転写比較

 

マスター型及びメソポーラス石英ガラス鋳型の測定図(単位:μm)

 

焼成前のメソポーラス石英ガラスは非常に柔らかく、鋭利な無痛針マスター金型形状は、プレス加工によって、ほぼきれいに転写できることが分かった。

 

 

今後の事業化計画

・今回の実験では、メソポーラス石英ガラスが鋳型として使用できることが分かったので、バイオや医療コスメ等に分野でニーズを探りたい。

 

 


医療コスメ関連の応用イメージ

 


カメラレンズの応用イメージ

 

・焼成前のメソポーラスガラスは、非常に機械加工性能に優れており、プラスチックよりも安価で光学部品、LEDなどへの応用の可能性がある為、ニーズ調査を行った上で次のプロジェクト研究に繋げていきたい。

 


紫外線照射による面発光

 


点発光

 


LEDライトキャップ